現場の事実を、AIで経営判断の材料へ
製造現場では、毎日さまざまな情報が発生しています。
生産数、不良、作業時間、付帯作業、予定外の対応などです。
しかし、これらが紙の日報や担当者の記憶だけに残っていると、後から
「どの仕事に負荷が掛かっていたのか」
「なぜ時間が掛かったのか」
「お客様へ何を説明すべきなのか」
を振り返ることが難しくなります。
そこで、現場で記録された事実を蓄積し、ローカルAIを使って人が判断しやすい文章へ整理する仕組みを開発しています。
課題
現場では仕事をしながら、長い日報を書くことが難しい
現場スタッフに必要なのは製造作業です。
仕事をした後に、その日の状況を文章で詳しく記録する運用は負担になります。
外国人スタッフが働く現場では、文章の日報を全員に求めることはさらに難しくなります。
そこで、現場では文章を書かず、
作業した事実だけを入力する
仕組みにします。
記録はあっても、後から読み返すのが大変
作業実績が蓄積されても、件数が増えれば一つずつ内容を確認することは困難になります。
経営者や管理者が知りたいのは、すべての明細ではなく、
どこに負荷が掛かっているか
何を確認すべきか
どんな傾向があるか
です。
価格転嫁や条件見直しを感覚だけで話したくない
「この仕事は大変だから値上げしたい」
だけでは、お客様への説明材料として十分ではありません。
実際に発生している、
- 追加作業
- 不良対応
- 検査
- 段取り
- 割込
- 付帯作業
などの事実を蓄積しておくことで、価格や条件について事実を基に相談できる状態を目指します。
対応
現場では、作業した事実を入力
現場のタブレット等から、
製造数
不良
不良理由
付帯作業
作業状況
などを入力します。
現場スタッフがAI向けの文章を書く必要はありません。
仕事をして、必要な事実を入力するだけです。
夜間にローカルAIが要約
日中に蓄積された実績を、夜間にローカルAIが整理します。
人が画面の前でAIの回答を待つのではなく、夜間に不足している要約だけを作り、翌朝には確認できる状態にします。
現在の設計では、
日次の注文明細要約
会社全体の日次要約
出荷完了後の注文全体要約
を段階的に蓄積する構成としています。
AIに数えさせない
数量、件数、対象期間、出荷完了明細など、システムで確定できる情報はAIに判断させません。
Smalltalkで集計・確定する部分と、
AIが文章として整理する部分
を分けます。
AIが行うのは、
記録された事実を短く、読みやすくまとめること
です。
数値や対象データそのものをAIに決めさせないことで、業務システムとしての確実性を保ちます。
目的ごとにAI要約を分ける
同じ現場の事実でも、見る目的によって必要な文章は異なります。
そこで、注文全体の要約を目的別に分けています。
社内改善
作業方法、段取り、不良、付帯作業などから、社内で確認すべき事項を整理します。
条件見直し
納期、検査、追加作業など、お客様との条件について打ち合わせが必要になった背景を整理します。
価格転嫁
価格交渉そのものをAIに任せるのではなく、追加負荷として発生している事実を整理します。
AIは値上げ率や採算を決めません。
最終的に判断するのは経営者です。
AI要約を履歴として残す
AIは、その場で回答させて終わりではありません。
作成した要約を保存し、
いつ
どの業務について
どの目的で
どの事実から作ったのか
を後から確認できるようにします。
過去の要約だけでなく、元となったデータやAIへの指示内容も確認できる仕組みにしています。
顧客別・製品別に負荷を確認
出荷が完了した実績を基に、
顧客別
製品別
期間別
に作業負荷を整理します。
単価や単価設定日などの情報も合わせて確認することで、
価格転嫁を相談すべきか
条件を見直す必要があるか
を人が判断するための材料にします。
AIが「この顧客は値上げすべき」と決めるのではありません。
感覚ではなく、現場で実際に起きた事実を並べることが目的です。
社外へ出せない情報は、社内AIで扱う
製造業では、
図面
品番
品名
顧客情報
製造条件
など、社外のクラウドサービスへ出せない情報があります。
そのため、機密情報を含むAI要約には、社内PC・サーバーで動作するローカルAIを利用します。
必要に応じて外部AIサービスを利用する場合でも、機密情報をそのまま渡すのではなく、システム側で整理・匿名化した情報だけを利用する考え方です。
AIを入れることが目的ではありません
この仕組みの目的は、「AIを導入した会社」になることではありません。
現場の仕事から事実を残す
↓
会社の記録として蓄積する
↓
AIが読みやすく整理する
↓
管理者・経営者が確認する
↓
社内改善やお客様との相談に使う
という流れをつくることです。
AIは、判断する人の代わりではありません。
AIが判断するのではなく、現場の事実を人が判断しやすい形へ整理します。
まずは、今あるデータから考えます
AIのために、新しい入力作業を大量に増やす必要はありません。
すでに生産管理システムに残っているデータ、紙の日報、Excelなど、
今ある情報の中で何が使えるのか
から考えます。
必要なところだけ現場入力を追加し、少しずつ蓄積できる仕組みにしていきます。